TCDの強みは仕様書がないこと

国内でトップのユーザー数を誇るWordPressテーマTCD。品質においては世界中を見渡しても引けを取るものではないと考えています。そんなTCDにおいて、私が考える開発チームの強みを1つご紹介しましょう。

結論から言うと、「明確な仕様書がないこと」です。

仕様書がないと聞いて驚く人も多いかもしれません。勿論、製品コンセプトや一定の決まり事はあり、それは各クリエイターと共有します。でも、細かい仕様は完成するまでどうなるかわからないのです。

企画後、まずはデザインを起こす。デザインの制作段階で企画時に盛り込まれないものが含まれていくことになります。次にコーディングとテーマオプションの実装に入るわけですが、操作性やアクション部分など最後まで修正の余地を残しながら完成まで持っていくわけです。後の段階になってデザインの修正が入ったり、新しい機能やデザインが追加されることもある。

最後までグレーゾーンを残しながら作っていくので、テーマ開発の過程はテーマごとに違うというわけです。なぜ、そんなやり方をしているかと言うと、先に仕様を固定してしまう落とし穴があるからです。

頭の中で出来た完成品は目の前にある完成品とは違います。まったく同じ製品でも印象が変わってくるのです。こんなふうになると頭の中で描いて作ってみたら、全然違ったということがよくある。だから、作りながら考えていくわけです。

そうしたクリエイターたちの創造性が一つの整合感を持って、集結することでいいモノができると私は考えています。

ちなみに、仕様をかっちり決めないモノづくりは社内でも批判があった時期があり、私も変なのかなと思ったことがありましたが、そうではないと今では確信しています。例えば、宮崎駿も最後まで物語の結末がわからない状態でアニメを作っているらしいです。その話を思い出した時は合点がいきました。

他にもスティーブ・ジョブズも下記のように製品開発の過程の重要さを語っています。

彼らはアイデアを出せば作業の9割は完成だと考える。
そして考えを伝えさえすれば社員が具体化してくれると思いこむ。
しかし、スゴいアイデアから優れた製品を生み出すには
大変な職人技の積み重ねが必要だ。
それに製品に発展させる中でアイデアは変容し成長する
細部を詰める過程で多くを学ぶし、妥協も必要になってくるからね。

大量のコンセプトを試行錯誤しながら組み換え
新たな方法で繋ぎ、望みのものを生み出すんだ。
そして未知の発見や問題が現れるたびに全体を組み直す。
そういったプロセスがマジックを起こすのさ

ズバ抜けた才能を持つ者が集まり、ぶつかり合い、議論を戦わせて、喧嘩して怒鳴り散らす。
そうやってお互いを磨き合い、アイデアをも磨き上げて美しい石を創り出す。

・映画「スティーブ・ジョブズ 1995~失われたインタビュー~ 」特別映像

仕様書があった方が作業する人は楽だし、製品の品質にもバラツキがない。だけど、ベルトコンベアー的発想の製品開発からは、人間の頭の中にある想像が付くものしか生まれないと考えています。人智を超えるには開発中も膝を突き合わせて考え続けることが必要になってくるのです。

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