TCDテーマには、単なるいちWordPressテーマというだけでなく、作品としての一面もあったりします。
副次的な要素としてユーザーに何かを感じ取っていただけるように「時代性」をテーマのコンセプトやデモサイトに投影しています。この記事では、TCDが取り入れている「時代性」についてお話ししたいと思います。
単なるトレンドとは異なる
ただ単純にトレンドに沿って開発しているわけではありません。
「今の流行りは何か」といった表面的なものではなくて、もっと深くて、感覚的に探り当てたものを作品化したいという想いがあります。TCDが開発時に心がけている部分のひとつです。
あえて時代性に関係なく、「ニーズのあるもの」を作るときもありますが、多くのテーマには、時代背景がさりげなく落とし込まれています。
時代性を取り入れたTCDテーマの事例
TCDの考える時代性は、デザインだけでなく、テーマのコンセプトやデモサイト、ネーミングといった細部にも反映されています。少しだけ先取りした社会の空気感を投影できるように意識しています。
いくつかご紹介いたします。
WordPressテーマ「Chill」
2014年2月にリリースしたテーマ「Chill」。
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テーマの構想が上がったのが2013年で、その頃「チル」という言葉を知る人はほとんどいない。まさか「チル」がここまで広がるとは我々も考えていませんでしたが、時代が癒やしを求めているということで名付けられたネーミングです。
WordPressテーマ「TOKI」、WordPressテーマ「NUMERO」、WordPressテーマ「MIKADO」
2019年3,4,5月にリリースした「TOKI」「NUMERO」「MIKADO」の三部作。
→TOKIのギャラリーページ
→NUMEROのギャラリーページ
→MIKADOのギャラリーページ
これらのテーマは、2019年5月から年号が「令和」に変わるということで、日本的価値観を再評価したいというコンセプトの元、開発されました。
ちょうどインバウンド需要が高まっていた時期ということもあり、日本文化を海外に発信したいという狙いもありました。それぞれ次のような題材でデモサイトをつくっています。
TOKI:日本の食文化
NUMERO:日本のポップカルチャー
MIKADO:日本の精神性
ここ数年「和」を題材にしたTCDテーマが増えたのも、これから日本的なものが注目され、価値を持ってくると感じるからです。
「日本的なもの」と言っても色々ありますが、いかにも観光客が好みそうな「和」なのかどうかはわかりません。
ただ、一番身近なところにあるものに実は価値があったと人々は気づき始めるんじゃないかと。だから、自然と和テイストのテーマ開発に時間をかけているのかもしれません。
WordPressテーマ「FAKE」
2019年8月にリリースしたテーマ「FAKE」。
→FAKEのギャラリーページ
世に蔓延る「まやかしや幻想を冷静に見極めてほしい。」そんな想いから「FAKE」というネーミングになっていますが、もちろん商品クオリティはまやかしではなく、コーポレートサイトが簡単につくれる人気の高いロングセラーテーマです。
一見、綺麗なものや美しいものも一歩引いて見ると本質が見えてくることもありますよね。逆に細部に粗が目立つこともあります。
取り繕われた世の中へのアンチテーゼとして、こんなPR動画もつくりました。
WordPressテーマ「muum」、WordPressテーマ「meets」、WordPressテーマ「DROP」
2020年12月,2021年1月,3月にリリースした「muum」「meets」「DROP」。
→muumのギャラリーページ
→meetsのギャラリーページ
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コロナ禍で外出自粛が長期化し、「おうち時間」というワードが一般的になった時期です。本や映画、音楽を楽しむ時間、副業を始める方も増加したタイミングでしょう。
同時に「外に飛び出したい」という欲求も高まっていた時期かもしれません。
そこで、自然の中でリラックスできるグランピング(muum)、観光業を応援するメディア(meets)、急激に普及したサブスクリプションサービス(DROP)という時代性を各テーマのコンセプトに取り入れています。
「おうち時間」は、単なる行動制限ですが、「見方を変えれば、楽しめることはたくさんある」そんな意図もあったりするんです。
WordPressテーマ「Beyond」、WordPressテーマ「SOLARIS」
2022年7月,2021年4月にリリースしたテーマ「Beyond」「SOLARIS」。
→Beyondのギャラリーページ
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コロナ禍真っ只中の2022年、2021年。社会が暗い雰囲気になっている中、テクノロジーで社会を明るい方向に導く企業をイメージして開発されました。「人類とAIとの豊かな共生世界」という明るい未来を想像してほしいという想いも込められています。
一方で、AIの発達や管理社会への危惧、というネガティブな側面もデモコンテンツに落とし込んでいます。
テクノロジーの発展には二面性があり、決していいことだけではありません。うまく活用して、人にしかできないことを重視していきたいものですね。
WordPressテーマ「HORIZON」
2022年3月にリリースしたテーマ「HORIZON」。
→HORIZONのギャラリーページ
固定概念を覆す横スクロールのテーマとして開発されました。ギャラリーサイトをイメージしたデモサイトでは、多様性を想起する写真が散りばめられていることがわかります。ジェンダーや多様性の問題に焦点を当て、固定概念に囚われないというのが、HORIZONの開発コンセプトです。
時代に合わせてニーズをつくる
社会の空気に触れながら、少し先の時代性を感覚的に捉えてそれを作品にしている感じです。あくまでトレンドに囚われすぎずに「つくりたいものをつくる」ことを意識しています。
でも、ニーズや時代背景を完全に無視するのもおもしろくない。だから一歩引いた立ち位置で、社会情勢をさりげなく作品に落とし込む。
「トレンドに寄せるのではなく、時代に合わせてニーズをつくる。」
それがTCDの取り入れている「時代性」です。